2012年02月24日

角ひろみ&丸尾丸一郎に聞く「地中」〜記者発表会より

2月17日、「地中」記者発表会がありました。
ナビゲーターの水口美佳、作家・角ひろみ、演出・丸尾丸一郎が、作品についての思いを語りました。

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水口美佳:《神戸の視点》実践!演劇プロデューサーへの道2011でナビゲーターを務めております、水口です。この講座には、10名のプロデューサー候補生が参加しています。メンバーはすでに舞台制作経験のある者から、演劇自体にあまり馴染みがないという者まで、年令も含め多岐にわたっています。私はナビゲーターという立場ですが、メンバーを指導していくというより、一緒に参加して作っていくというスタンスでいて、この講座の特徴、レクチャーだけでなく最終的にはこの10名で実際に公演を制作するという、こういった試みは私にとっても新しい挑戦だと思っています。

今回脚本をお願いした、角ひろみさんは詩的で文学的な文章を書かれる方ですが、演出はダイナミックだという印象を持っています。演出については、男性がいいのではないかという事と、神戸発信の企画という事で、神戸にゆかりのある方にお願いしたいという思いがありました。丸尾丸一郎さんは、角さん作の「あくびと風の威力」の大ファンで、昨年、これもちょうど震災の後になりますが、劇団鹿殺しで上演されています。先程言った、角さんのダイナミックさは、劇団鹿殺しのダイナミックさに通じているのではないかと思います。演出には丸尾さんがピッタリだ!と思ったのは、これはもう直感としか言いようがないのですが、実際に稽古が進んでいくにつれ、この組合せに間違いはなかった、と手応えを感じております。

角ひろみ(以下、角):神戸アートビレッジセンター(KAVC)は私のホームグラウンドであり、KAVC(=神戸)に育てられたと思いがあります。また、以前に神戸市高校演劇祭で丸尾さんと演出をした事もあります。そんな経緯もあり、今回、このオファーを頂いた事には「縁」を感じています。

丸尾丸一郎(以下、丸尾):今回この依頼を受けたのには理由が3つありまして、まず1つ目は、以前からずっと「演出を手掛けてみたい」という思いを持っていたことです。2つ目は、角さんの作品が大好きだったこと。特に「あくびと風の威力」に心を動かされました。「あくび…」は劇団鹿殺しでも上演させて頂きました。3つ目はプロデューサー講座に対して、面白い取組をされているなと思ったこと。演劇が続いていく為には、その根っこになるプロデューサーが必要だと思います。でも、プロデューサーを育てるという事はなかなか実現されていません。今回、この講座が1回目という事で、プロデューサーが育っていく為のお手伝いがしたいと思いました。

:『地中』は2010年春に書き始めました。自分が子供を持つようになり、自分の子に伝えたいことを書こう、というのがきっかけです。日常の価値をみつめる作品を作ってきた中で、やはり昨年の東日本大震災には大きく影響を受け、繰り返される人の営みを作品に投影したいと思い、普遍的なもの、を意識して書きました。ある土地を元に、人が現れては消え、そこにまた新たな人が現れる…。今、私が立っているこの土地には、かつては私が知らない人が立っていた…その重なりがあって今がある。命のサイクルというか…。『地中』はそれぞれ独立した4つの時代に登場する、4組の独立した話が最後には重なっていくという展開の中で、物事を、日々私達の目の前で起きる事件や、現在のとある一点よりももうひとつ大きな所から俯瞰しているといったイメージです。

丸尾:『地中』という作品は、正直、難解な部類に入ると思うのですが、「どう料理しても構わないよ」っていう提示の仕方をされているので、
初めて観た人にもわかりやすくしたい、と思い、現在、思考錯誤しながら稽古中です。

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Q.角さんは先日、本読みに立ち合われたそうですが、ご自分が書かれた言葉(台詞)を実際に役者の声で聞いてみていかがでしたか?

:『地中』は上演のあてなく書いていまして…。書いている時、自分の頭の中では暗い感じで再生されていたのが、キャストの方々が読まれて世界が拡がりました。「日常から一歩異空に飛びそうなイメージ」のキャストの方々や、丸尾さんの演出によって、私が作った『地中』をまた一つ違う世界に引っ張ってもらえる気がします。丸尾さんは、台本に書いてある設定を踏まえて「次どこへ行くか」をやってもらえると期待しているし、どんどん壊して欲しいです。私、今は枯山水に興味があるのですが、私が「石庭」の感じで書いた作品が、丸尾さんの演出でディズニーランドになるような…。それと、私は女性なので、女性の視点で書いたものに男性の視点が加わることでの変化が楽しみです。

Q.角さん、作品についてもう少しお聞かせください

:私の最近の作品は、限定された設定の中で進行する話が続いていますが、今回は「限定をしない事」が新しい試みです。時間や場所を限定せず、子供でも感覚で捉えられるような作品にしたかった。もう一つ。『地中』には「人影」という、コロス的な役が登場します。これも新しい試みで、
効果音をセリフにして「人影」が喋ります。動いているのは別の人です。何もないところに人だけがいて、人がすべてやっている。影の上に人がいる。.周りの人は自分の投影であり、それこそが「影」。「人影」がやる事で通常の効果音使う以上の「つながり」が生まれるのでは、と思って書きましたが、今日の本読みを聞いていい感じになってるなと思いました。

Q.丸尾さん、『地中』の印象をもう少しお聞かせください

丸尾:『地中』は、普通に読むと絵本的だったり、詩的な印象がします。戯曲としての幅が広く、演じる側が自由に解釈できると思います。役者の力量が問われるところでもありますね。その部分を観客に楽しんで貰えるように、また、キャスト全員が一つの方向を向いて行けるよう、まとめて行きたいと思っています。「上演予定ありき」で書かれた作品でない分、角さんの思いが純粋に詰まっている感じがして、それを大切に演出したいです。

Q.『地中』に出てくる4つの設定に時代の順番はありますか?

:各設定では順番はありません。ラストに4つの設定が繋がった時に、なんとなく分かるかな、って感じです。

Q.キャスティングについてはいかがですか?

:座長まつりみたいになったな、と(笑)。公演を成功させる為の、作品を伝える為のキャスティングってあると思うんです。作家にはそういった目線が少ないと思うし、今回のキャスティングを見て、プロデューサーの存在は必要だなと思いました。

Q.プロデューサー講座が企画する公演ということですが…

丸尾:プロデュースメンバーにも、どんどん関わって欲しいと思っています。僕が一人で何もかも決めるのではなく…実際、美術や衣装の打合せにも出席して貰って、意見やアイデアを尋ねたりもして。僕自身、「どんな芝居が面白いのか?」とか「人を楽しませるとは?」って悩んだり、迷ったりする事もあるし、今は色々と探っている時でもあるので、一緒に作っていきたいと思っています。

Q.この作品を、3/11に上演する事について

:3月11日にあたる日が、人それぞれにあるはずです。生きているなかでそれとなく過ぎているもの、そして、そのつながりの中にいる自分。
人として生きている実感を感じられるような作品にしたいと思います。

丸尾:人が少しでも、上を向いていくような作品を作りたいです。それをやり続けることが大切だと思います。


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